「Apple Intelligence(アップル・インテリジェンス)」は、Appleが独自に開発した生成AIで、ChatGPTとはまったく別の設計と構造をもったAIサービスです。
iPhone 15 Proシリーズ以降、そしてiPhone 16シリーズでは、このApple IntelligenceがiOS 18とともに本格的に導入されました。さらに、必要に応じてChatGPTにもアクセス可能という、ハイブリッドな構成が話題を呼んでいます。
でも、こうした疑問を感じる方も多いのではないでしょうか?
- Apple IntelligenceとChatGPT、何が違うの?
- どちらを使えばいいの?
- プライバシーは大丈夫?
- 実際に自分のiPhoneでは何ができるの?
この記事では、AppleとOpenAIの連携の背景や、両者のAIがどう使われるのかを徹底的に解説。
さらに、対応デバイスや今後の展望、関連サービスまで一挙に紹介します。
Apple Intelligenceとは?Appleが設計した「使い手本位」のAI
Apple Intelligenceは、Appleが自社で設計・開発した生成AIシステムで、iPhone、iPad、Macで安全に使えるように最適化された設計が特徴です。
Apple Intelligenceの特徴1:オンデバイス処理が基本
Apple Intelligenceは個人情報の取り扱いに配慮しているのが最大の特徴。Siriへの命令や文書要約など、多くの機能がiPhoneやMac内のチップで完結する「オンデバイス処理」で行われます。
このため、個人の写真・予定・メッセージなどが外部に送信されることなくAIに活用できるという、極めて高いプライバシー性が実現されています。
Apple Intelligenceの特徴2:「Personal Context」で賢く、しかも安心
Apple Intelligenceでは、「Personal Context(個人の文脈)」を参照することで、たとえばこんなことができます。
- メール文の要約+自分の予定と照らし合わせた返信提案
- 過去のメッセージ内容を反映した自然な文章作成
- Safari記事の要点まとめ+リマインダー作成
しかも、これらは端末内処理(またはPrivate Cloud Compute)でのみ動作する設計なので、AIにプライベート情報を読まれる心配は限りなく小さいのです。
ChatGPTとは?あらゆる知識を持つ「万能型のAI」
一方で、AppleがChatGPTをiOS 18で統合した背景には、Apple Intelligenceにはまだ難しい「汎用性」や「外部知識の応答力」をカバーする目的があります。
GPT-4oのすごさ
- テキスト・音声・画像・コードの入力に対応(マルチモーダル)
- 数学・会話・論理推論の精度が高い
- 最新のニュースや知識にもアクセスできる(2024年6月時点)
Appleは、ChatGPTを使いたいときだけ使える外部AI」として、iOSに搭載するスタイルを採用。Apple Intelligenceで処理できない高度な内容(たとえば「小説を書いて」や「ファンタジー風に文章を直して」など)は、ChatGPTに切り替えることができます。
しかも、ChatGPTに情報を送る前には必ずユーザーに確認を取る設計になっており、勝手に外部サーバーへ情報が送られることはありません。
Apple IntelligenceとChatGPTの違いを一覧で比較
特徴 | Apple Intelligence | ChatGPT(GPT-4o) |
---|---|---|
開発元 | Apple | OpenAI |
データ処理 | 主にオンデバイス(またはPrivate Cloud) | クラウド上で処理 |
プライバシー配慮 | 極めて高い(端末内完結) | 一部同意の上で情報送信 |
賢さの方向性 | ユーザー固有の文脈に強い | あらゆる知識に強い |
操作感 | システム全体に統合 | 呼び出し時に利用可能 |
料金 | 無料(Apple製品ユーザー) | GPT-4oは無料でも利用可能、有料版もあり |
Apple IntelligenceとChatGPT、どう使い分ける?
Apple IntelligenceとChatGPTは、同じ「生成AI」でありながら、それぞれの得意分野が異なります。どちらかを一方的に使うのではなく、場面に応じて使い分けるのが賢い活用法です。
ざっくりまとめ:それぞれの得意分野
比較項目 | Apple Intelligence | ChatGPT(4oなど) |
---|---|---|
デバイスとの連携 | ◎(写真・メモ・カレンダーなどに統合) | △(Apple製品とは非連携、Siri経由で呼び出し) |
プライバシー配慮 | ◎(オンデバイス処理中心、必要時だけ送信) | △(基本的にクラウドで処理) |
情報検索・知識回答 | △(基本は端末内情報が中心) | ◎(あらゆる知識に対応可能、会話でさらに深掘りできる) |
創作・文章生成 | △(要点抽出や要約など) | ◎(ストーリー創作、英語添削も得意) |
パーソナライズ | ◎(写真からの振り返り、予定の提案など) | △(ユーザーの写真や予定などの個人情報は基本的に引き継がない) |
たとえば、日常的なメール返信や予定の整理、リマインダーの生成など、自分のiPhone内の情報に連携した処理はApple Intelligenceの独壇場。
写真・メッセージ・カレンダーなど、個人情報に紐づいた行動支援はApple製デバイスとOSに深く統合されたAIならではの安心感と使いやすさがあります。
一方で、旅行の計画を立てる・英文を校正する・専門的な質問に答えてもらうといった、より自由度が高く、インターネットを前提とした「会話型AI体験」をしたいならChatGPTの出番です。
たとえば、「このホテルの口コミをまとめて」「プレゼン資料の構成を考えて」といった複雑なリクエストにも、ChatGPTは柔軟に対応してくれます。
特に、Siri経由でChatGPTに切り替えることができる仕様が導入されているため、「Apple Intelligenceで不十分だな」と感じたときも、スムーズにより強力な回答が得られるのが魅力です。
つまり、「Apple Intelligence=日常と深く結びついたプライベートAI」、「ChatGPT=幅広い質問や創作を支援する外部知能」と考えると、それぞれの役割がはっきりしてきます。
シーン別|どっちを使うべき?
Apple Intelligenceに使いたい場面
- 写真アプリで「去年の京都旅行をまとめて」と頼む
- メール本文の要点を抽出して、短く返信文を生成する
- スクリーンショット内の文字を認識して、予定をカレンダーに自動登録する
- 通話中の内容を自動でメモして要約する(後述するNotePin AIとの併用もおすすめ)
ChatGPTに使いたい場面
- 「旅行の持ち物リストを作って」「子ども向け英語教材を探して」など自由な依頼
- プレゼン資料の構成を考えてもらう
- 自分の考えに対して「他の意見も知りたい」ときの対話相手として活用
実際に何ができるの?iOS 18で実装されたAI機能
Apple Intelligenceでは、AIによるアシスト機能が導入されています。
- メール・メッセージの文面自動生成・要約
- 通知の優先度判断と読みやすい要約
- Safariでの「要点だけ読む」モード
- 自分のスケジュール・連絡先を使った返信補助
- 画像の背景削除や編集の自動提案(Photosアプリ)
- Siriの文脈理解の向上(「あの件、明日どうなった?」だけでも通じます!)
Apple Intelligence対応デバイスは?
2025年6月時点で、Apple Intelligenceが対応するのは以下のモデルです:
- iPhone 16シリーズ
- iPhone 15 Pro / Pro Max
- iPad Pro (M1以降)
- iPad Air (M1以降)
- Mac(M1以降のApple Silicon搭載モデル)など
さらに快適に使うなら、こんなAIデバイスも注目
Apple IntelligenceでiPhoneやiPadの使い勝手が一気に進化しましたが、実生活の中で「記録を残す」「あとで見返す」ことに関しては、まだ少し工夫が必要だと感じる場面もあります。
たとえば──
- 打ち合わせや会議のメモを取りきれないとき
- 散歩中に思いついたアイデアを、ポケットからスマホを出さずに残したいとき
- 録音した内容をあとで自動で整理・要約したいとき
こういう場面では、iPhoneやMacと組み合わせて、音声メモや議事録生成に活用できるAIガジェットも今注目されています。特に人気が高まっているのが以下の2つです。

iPhoneとBluetoothでつないで使うことができ、録音した内容はAIが自動でテキスト化&要約。話した内容をあとで「検索できるメモ」として簡単に残せる感覚です。

NotePin AIは、服に留めておけるマグネット式で、装着しているのを忘れるくらい軽いのが特徴。録音内容は自動でテキスト化され、スマホアプリで整理・検索も簡単です。
まとめ|Apple Intelligenceは「信頼」と「文脈」に寄り添うAI
ChatGPTが万能型のAIアシスタントであるのに対し、Apple Intelligenceは「あなた自身のことを安心して任せられる、スマートなアシスタント」として位置づけられます。
Appleが何より重視しているのは「プライバシー」と「感覚的な操作性」。
これまでのApple製品に慣れ親しんだユーザーにとって、Apple Intelligenceはこれまでにない直感的で安心なAIのかたちとなるはずです。
もしiOS 18対応デバイスをまだ持っていないなら、今が乗り換えのタイミングかもしれませんね。
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