Appleは5月15日(水)、アクセシビリティに関する新しい6つの機能と、既存の機能に関する9つのアップデートを発表しました。実は、アクセシビリティは多くのiPhoneユーザーが使っているはずの身近な機能。例えば、バイブレーションや背面タップ、画面の文字サイズなどの設定も、「アクセシビリティ」タブで管理できます。
そして、毎年5月の第3木曜日は、GAAD(Global Accessibility Awareness Day; ギャード)の日。全世界でデジタル分野の「アクセシビリティ」を考える日です。テクノロジーが障がいをもったユーザーにとってアクセシブルであることは、誰にとっても生きやすい社会を実現することにつながります。
優れたテクノロジーは、誰にとっても豊かさをもたらすはず。今回の発表内容も、あらゆる人が豊かな体験を享受できるような、新しい機能が満載です。
デバイスを目で制御するアイトラッキング
人工知能を搭載したアイトラッキング技術により、ユーザーは目だけでiPhoneやiPadを制御できるようになります。
Appleが公式サイトで公開した動画では、目の動きだけで画面上の要素間を移動し、コマンドを選択している様子が映し出されています。これにより、物理的なボタンの押下やスワイプ、その他のジェスチャーなどを、デバイスに触れることなく行うことができるようになります。
この機能は、目だけで画面上の操作ができるという点で、Apple Vision Proに近いイメージですね。デバイスに触れることなく目線で画面を制御するのは、まるで魔法のようです。
触感で音楽を体験するハプティックス
新しいミュージックハプティクスは、iPhoneで音楽を体験するための新しい方法を提供する機能です。
このアクセシビリティ機能を使うと、iPhoneのTaptic Engineが、音楽に合わせたさまざまな振動を発生させます。つまり、聴覚だけでなく、触感でもって音楽を体験するための新しい楽しみ方です。聴覚障がいのあるユーザーもそれぞれの楽曲を楽しむことができるようになります。
音楽を振動とともに楽しむことができるようになれば、より音楽の世界に没入できそうです。
より簡単で柔軟な音声ショートカット
この音声ショートカット機能を使用すると、iPhoneとiPadのショートカットを起動させて、複雑なタスクを完了させることができます。
この機能を使用するとき、ユーザーの音声について、デバイス上の機械学習を使用することで非定型音声を認識できるようになります。これにより、脳性麻痺、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脳卒中など、発話音声に影響を与える疾患を持つユーザーが、より自由にデバイスを制御できるようになります。
どんな音声もパターン認識して特定できる、機械学習の強みが生かされた機能ですね。
乗り物酔いを軽減するモーションキュー
車両モーションキューは、移動中の車両で乗り物酔いを軽減することを助けてくれる新機能です。
研究によれば、乗り物酔いが起こる原因は、「見ているもの」と「感じるもの」の感覚的な差異にあるといいます。この新機能を使うと、画面の端にドットのアニメーションが表示され、車両の動きに合わせてリアルタイムで動くようになります。このドットの動きによって、乗り物酔いしづらくなるんだとか。
乗り物に乗りながら調べものをしたいときやメッセージを送信したいときなど、いつでも使える便利な機能ですね。
CarPlayに複数のアクセシビリティ登場
CarPlayに、音声コントロール、カラーフィルター、サウンド認識のアクセシビリティが登場します。
音声コントロールを使うと、ユーザーは声だけでCarPlayをコントロールできます。サウンド認識では、車のクラクションやサイレンの音をアラートで通知できるようになります。さらに、カラーフィルターを使えばCarPlayの画面を視覚的に使いやすくすることができます。
一人ひとりのニーズに合わせてカスタマイズできるようになることで、ドライバーの利便性が向上すること間違いありません。
Apple Vision Proのアクセシビリティも拡大
今年2月に発売されたApple Vision Proに、追加のアクセシビリティ機能が登場します。
ビデオ通話やアプリからの音声にライブ字幕が追加されるほか、VoiceOverによる読み上げ、ズーム、カラーフィルターの設定が可能となります。さらに、Vision Proを、目、手、または声などを任意の組み合わせで操作できるようになり、ユーザーが最も使いやすい環境を構築できるようになります。
Apple Vision Proの登場自体が革新的なイノヴェーションでしたが、それがさらに包括的なデザインとなり、多くの人にとってアクセスしやすいテクノロジーとなっていきそうです。
さらなる追加アップデートも発表
これらの新機能に加えて、既存のアクセシビリティ機能にもアップデートが加わります。
具体的には、VoiceOverのカスタマイズ機能、画面の文字やカラー設定のフレキシビリティ向上、音声コントロールの拡大などの機能で、より多様なニーズに対応します。
機能の登場は2024年後半の予定
これらの機能はすべて2024年後半に登場する予定で、今年発表されるiOS 18に搭載されることが予想されます。
iOS 18のアップデートに関する詳細は、来月6月11日に行われるWWDCで発表される見込みです。