ポータブル電源を探してAnker Solixシリーズのページを開くと、まずモデルの多さに面食らいます。288Wh・768Wh・1024Wh・2048Wh……容量の単位からして馴染みが薄く、「どれが自分に合うのかわからない」という人は多いはずです。
ポイントは、容量は多ければいいわけではないということです。予算・重さ・使いたい家電の消費電力、この3つで絞り込めば、自分にちょうどいい1台はかなり絞られます。
この記事では、Anker Solixシリーズ全モデルを整理し、「自分はどれを選べばいいか」が一目でわかるよう解説します。
まず知っておきたい「容量」と「出力」の違い
ポータブル電源のスペックで混乱しやすいのが、Wh(ワット時)とW(ワット)の違いです。
容量(Wh)は「どれだけ長く使えるか」を決める数値です。
バケツの大きさをイメージすると理解しやすいでしょう。1000Whなら、100Wの家電を約10時間動かせる計算になります。
出力(W)は「どんな家電が動かせるか」を決める数値です。
定格出力300Wの機器に1000Wの電子レンジを接続しても動きません。出力は機器の「蛇口の太さ」に相当します。
容量だけ大きくても出力が低ければ使えない家電があり、出力が高くても容量が少なければすぐ電欠します。この2つを組み合わせて判断するのが基本です。
| 家電・機器 | 消費電力目安 | 使えるモデル | C800(768Wh)での目安 | C1000 Gen 2(1024Wh)での目安 |
|---|---|---|---|---|
| スマホ充電 | 約15Wh/回 | 全モデル | 約50回 | 約68回 |
| ノートPC | 約50W | 全モデル | 約12時間 | 約16時間 |
| 電気毛布 | 約50W | 全モデル | 約12時間 | 約16時間 |
| 小型テレビ(32型) | 約60W | C300以上(AC必要) | 約10時間 | 約13時間 |
| 電気ケトル | 約1000W | C800以上 | 約46分(合計) | 約1時間(合計) |
| ドライヤー(弱) | 約600W | C800以上 | 約1.2時間 | 約1.7時間 |
| ドライヤー(強) | 約1200W | C1000系以上推奨 | △ | 約51分 |
| 電子レンジ | 約600〜1000W | C800以上 | 約46分〜1.2時間 | 約1〜1.7時間 |
| IH調理器 | 約1400W | C1000系以上 | × | 約44分 |
※ 使用時間は公称容量からの概算です。実際は変換効率(約80%)により短くなります
※ C300(288Wh)は定格300Wのため、電気ケトル以上の高消費電力家電には対応できません
※ C800のドライヤー(強)は定格ギリギリのため△。安定使用にはC1000系がおすすめです
Anker Solixシリーズ 全モデル比較
| C300 DC | C300 | C800 Plus | C1000 Gen 2 | C2000 Gen 2 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 外観 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
| 容量 | 288Wh | 288Wh | 768Wh | 1024Wh | 2048Wh |
| 定格出力 | DC出力のみ | 300W | 1200W | 1550W | 2000W |
| 瞬間最大出力 | ── | 500W | 1600W | 2300W | 3300W |
| 重量 | 約2.8kg | 約4.1kg | 約10.9kg | 約11.3kg | 約18.9kg |
| 充電時間 | 約1.5時間 | 約1.1時間 | 約58分 | 約54分※ | 約99分 |
| LEDライト | 搭載 | 搭載 | 搭載 | なし | なし |
| 拡張バッテリー | 非対応 | 非対応 | 非対応 | 非対応 | 対応(最大5120Wh) |
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※ C1000 Gen 2の約54分はアプリで超急速充電モードを設定した場合。通常モードは約60分
容量帯ごとの実力と限界
288Wh帯|C300 DC・C300
288Whは、スマホ(約15Wh)なら約19回分の充電量に相当します。ノートPCなら約4〜5回。電気毛布(50W)をつないだとしても約5〜6時間が限界です。
「1日の停電をしのぐ」という用途には正直心許ない容量です。ただし、重量が2.8〜4.1kgという軽さは他のモデルには真似できません。ショルダーストラップが付属しており、避難時に肩に掛けたまま移動できる唯一のSolixモデルです。
C300 DCはACコンセントを持たない代わりに、より軽量(約2.8kg)で価格も安い。スマホ・PC・モバイルルーターの充電だけできれば十分という人向けです。C300はACコンセント3口を備え、小型家電も使えます(ただし定格300Wまで)。
768Wh帯|C800 Plus
スマホ約50回分、ノートPC約13回分の容量で、電気毛布(50W)なら約13〜14時間動かせます。定格1200Wという出力は電子レンジ・ドライヤー・IHクッキングヒーターといった大型家電にも対応できるラインで、「キャンプで普通の家電を使いたい」というニーズにはこの容量帯で十分なことが多いです。
C800 Plusは天面の蓋の中にIP65防水のLEDライト2本と最大100cmまで伸縮可能なポールが収納されており、ライトはポータブル電源と自動的に同時充電されます。防災・アウトドア兼用で使うならC800 Plus一択と言っていいでしょう。
1024〜1056Wh帯|C1000 Gen 2
スマホ約68〜70回分、ノートPC約17〜18回分。電気毛布(50W)なら丸1日以上の連続使用が視野に入ります。定格出力も1500W〜1550Wとなり、家庭でよく使う家電のほぼ全てに対応できます。
ここから「ポータブル電源を防災の中心に据える」という使い方が現実的になります。停電1日分をある程度しのげる容量というイメージです。
2048Wh帯|C2000 Gen 2
スマホ約136回分、ノートPC約34回分。電気毛布(50W)なら約36時間、扇風機(50W)を昼夜回し続けても余裕があります。3〜5人家族が被災時に最低限の家電だけで使えば約2〜3日分の電力に相当するとAnkerは案内しています。
この容量になると「キャンプに持ち出す」よりも「家庭の備蓄電源」としての比重が大きくなります。重量は約18.9kgで、一人で運ぶには両側面のハンドルを使う必要があります。拡張バッテリーで最大5120Whまで拡張可能。価格は約20万円〜と、C1000 Gen 2の3倍以上になります。
用途から選ぶおすすめモデルは?
スマホ・PCの充電だけできればいいなら|C300 DC
C300 DCはACコンセントを持たないモデルです。USB-CとUSB-A、シガーソケットのみで、スマホ・タブレット・ノートPC・モバイルルーターといった「もともとUSB充電する機器」を使い続けられる構成になっています。
重さは2.8kgとSolixシリーズ最軽量で、価格もシリーズ最安レベル。防災グッズとして玄関の棚に置いておいても圧迫感のないサイズです。
「コンセントを使う家電は動かさなくていい、とにかく通信手段だけ確保したい」という人向けの割り切ったモデルです。
とにかく軽く持ち運びたい、でもコンセントも必要なら|C300
C300はC300 DCにACコンセント3口を追加したモデルです。コンセントが使えることで、電気毛布・小型扇風機・小型テレビ・卓上ライトなど、USB以外の家電も動かせます。重さは4.1kgとC300 DCより少し増えますが、ストラップで肩掛けできる軽さは変わりません。
ただし定格300Wという出力の壁は意識が必要です。電子レンジ・ドライヤー・電気ケトルといった消費電力の大きな家電は動かせません。コンセントが使えるといっても「小型家電まで」と考えておくのが正確です。
キャンプ・車中泊で家電を快適に使いたいなら|C800 Plus
LEDライト&ポール内蔵・定格1200W・768WhのC800 Plusは、1〜2泊のキャンプで「電気が使える快適さ」を実現するのにかなりバランスが取れたモデルです。電子レンジ・ドライヤーも動かせて、付属ポールにセットしたライトは夜間の手元照明になります。防災兼用としてもC1000系の前にまず検討する価値がある1台です。
1〜2人の防災備え・キャンプ兼用なら|C1000 Gen 2
筆者が東日本大震災で約1ヶ月の停電を経験して思うのは、「スマホが充電できるかどうか」が情報収集の命綱になるということです。そのうえで「電気毛布も使えると助かる」「ドライヤーも使えると助かる」という現実的な備えを考えると、1000Wh前後・1500W以上の出力がひとつの目安になります。
C1000 Gen 2は約11.3kgと1000Wh台では最軽量クラスで、充電時間も超急速充電モード使用時で約54分と短いのが特徴です。ソーラーパネルとセットで運用すれば、停電が長引いても電源を維持できます。
1〜2人暮らし、またはメインの防災電源を初めて用意するという人に現時点でもっともおすすめできるモデルです。
家族3人以上・数日分の停電備えをしたいなら|C2000 Gen 2
Ankerの目安では、3〜5人家族が最低限の家電のみで1日約700Whを使用した場合、C2000 Gen 2の2048Whで約2〜3日分に相当します。家族が多い、または長期停電に備えたいという人はこのクラスが安心です。
価格は約20万円〜となりますが、前モデルから重量が約40%削減(約18.9kg)されており、拡張バッテリー対応で将来的にさらなる増量も可能です。
よくある質問
防災目的だけなら安い容量の小さいモデルで十分?
「スマホとラジオだけ動けばいい」という最小限の備えなら、C300 DCでもOKです。ただし、停電が数日続く場合や、夜間の照明・電気毛布など複数の機器を使う場面を考えると、288Whでは頻繁に充電が必要になります。家族の人数や「停電何日分まで備えるか」を基準に決めるのがおすすめです。
C800とC1000、どちらを選ぶべき?
出力はどちらも一般家電に十分対応できます。分かれ目は容量(使える時間)と予算です。電気毛布や扇風機を夜通し使いたい、または2泊以上のキャンプで余裕を持ちたい場合はC1000系。1泊や数時間の使用ならC800でも十分です。
価格差は約1.5万円前後なので、悩むならC1000 Gen 2を選んでおくほうが後悔は少ないと思います。
ソーラーパネルはどのモデルから必要になる?
どのモデルでも対応していますが、C800以上を本格的な防災・アウトドア電源として使うなら、ソーラーパネルはセットで考えるのがおすすめです。288Whのような小容量モデルはそもそも1日で使い切るほどではなく、コンセントでも短時間で充電できます。C1000 Gen 2やC2000 Gen 2のように容量が大きくなるほど、「電力を消費しながら補充し続ける」ソーラー運用の恩恵が大きくなります。
まとめ|容量選びは「何日・何人・何に使うか」で決まる
- C300 DC:スマホ・PC充電のみ・最軽量(2.8kg)・約2万円〜。避難時の携帯性重視
- C300:小型家電も使えて軽い(4.1kg)・約2.5万円〜。ソロや少人数向け軽量備え
- C800 Plus:LED&ポール内蔵・定格1200W・768Wh・約4.3万円〜。キャンプ兼防災バランス型
- C1000 Gen 2:最軽量クラスの1000Wh・約11.3kg・定格1550W・約6万円〜。1〜2人の防災・アウトドア兼用に最適
- 初代C1000:BP1000で拡張可能な唯一のモデル・5万円台〜。将来の容量拡張を見据えるなら
- C2000 Gen 2:2048Wh・約18.9kg・定格2000W・約20万円〜。家族3人以上・長期停電備え向け
Solixシリーズで迷っているなら、「スマホ・PC充電だけ→C300」「家電も動かしたい→C800以上」「防災の中心に据えたい→C1000」「家族全員分・数日分→C2000 Gen 2」という4段階で考えると整理しやすいと思います。
C1000 Gen 2の詳細スペックや実機レビューはこちら
ポータブル電源特集
▶︎ Anker Solixシリーズはどの容量を選ぶべき?徹底比較
▶︎ Anker Solix C1000 Gen 2を徹底レビュー














