Apple Watchはここ数年で「手首に巻く健康デバイス」として大きく進化してきました。心拍数の常時計測、心電図(ECG)、血中酸素濃度、皮膚温の記録など、日常生活のちょっとした変化を見逃さない仕組みが整っています。けれども「血圧も測れるのでは?」と期待する声はずっと根強いものがあります。
2025年の今、結論を言えばApple Watch単体で血圧測定はできません。しかし、Apple Watchで血圧を管理するための代替手段は存在します。さらに近い将来「血圧に関する新機能」が追加される可能性は高まっています。
ここでは、なぜ血圧測定が難しいのか、現状どのような方法で管理できるのか、そしてApple Watchの血圧測定機能に関する最新の噂を詳しく見ていきましょう。
Apple Watchに搭載済みのヘルスケア機能|心拍も酸素も睡眠も
Apple Watchが「ただのスマートウォッチ」ではなく、「手首に巻く健康デバイス」としてここまで評価されるようになった理由のひとつが、充実したヘルスケア機能にあります。日々の生活に自然に溶け込みながら、体調の変化や健康リスクを把握できるようになったのは大きな進化です。
機能 | 内容 | 利用シーン | 搭載モデル |
---|---|---|---|
心拍数の常時計測 | 24時間心拍を測定し、異常があれば通知 | 日常の健康チェック、運動中の負荷確認 | 初代(2015年)以降すべて |
ECG(心電図)アプリ | 不整脈の兆候を検知できる | 心臓の健康管理、気になる症状があるとき | Series 4(2018年)以降 |
血中酸素濃度 | 呼吸や体調に関わる数値を測定 | 登山や飛行機移動、体調不良時の確認 | Series 6(2020年)以降 |
皮膚温の変化 | 睡眠や周期の変化を記録 | 睡眠の質改善、体調変化の早期把握 | Series 8(2022年)以降 |
ヘルスケア機能①|心拍数の常時計測

Apple Watchの健康管理の原点とも言える機能です。初代モデルから搭載され、運動時の負荷確認はもちろん、安静時や睡眠時の心拍変動も記録可能。異常な心拍リズムを検知した場合には通知してくれるため、見逃しがちなリスクにいち早く気づけるのが強みです。
ヘルスケア機能②|ECG(心電図)アプリ
Series 4以降で搭載された心電図アプリは、指をデジタルクラウンに触れるだけで心電図を測定でき、不整脈の兆候を検出してくれます。これまでは医療機関でしか測れなかったことが手首で可能になったのは、Apple Watchが医療分野でも注目されるきっかけのひとつです。
ヘルスケア機能③|血中酸素濃度の測定
Series 6から追加された機能で、呼吸や体調に直結する血中酸素を測れるようになりました。特に登山や高地旅行、飛行機での長距離移動など、酸素濃度が変化するシーンで活躍。日常的にも「なんとなく疲れが取れない」と感じたときに役立つ指標になります。
ヘルスケア機能④|皮膚温の変化の記録
Series 8で導入された比較的新しい機能。睡眠中の皮膚温変化をモニタリングし、睡眠の質をより詳しく可視化できるようになりました。周期予測や体調変化の早期発見に役立ち、「なんとなく調子が悪い」という感覚をデータとして裏付けてくれるのがポイントです。
血圧測定がまだ搭載されない理由
血圧を測るとき、病院や自宅で「腕をギュッと締め付けるカフ式」を使った経験があると思います。これは「オシロメトリック法」と呼ばれる方法で、腕を圧迫し血流の変化を読み取る仕組みです。Apple Watchのような小さなデバイスには、この物理的機構を再現することができません。
一方でSamsung Galaxy Watchなど、一部のライバル機には「カフなし血圧測定」が搭載されています。ただしこれは「定期的に上腕式の血圧計で校正が必要」という条件つき。つまり、完全自動で正確に測れるわけではなく、精度も医療レベルには届きません。日本国内モデルでは未搭載の場合も多く、規制や信頼性の問題がまだ残っているのが現実といったところです。
近い将来、Apple Watchへの搭載が噂される血圧機能
Bloombergなどの報道では、Appleは2025年以降のApple Watchに「高血圧の兆候検知」機能を搭載する可能性があると伝えています。
重要なのは、最初から具体的な数値を表示するのではなく、「血圧が高めの傾向がある」と通知するスタイルになるという点です。これは医療機器としての規制をクリアするまでの経過措置といえます。将来的には光学センサーやAI解析の進化で、カフなしで数値を推定する技術に近づいていくことが期待されています。
Apple Watchの次世代モデルに関する最新情報・噂まとめ
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Apple Watchで血圧を管理する方法|外部血圧計とのアプリ連携
Apple Watch単体では血圧を測ることはできませんが、Bluetooth対応の血圧計をiPhoneと連携すれば、iPhoneにデータを記録できます。こうすることで、心拍数や睡眠などApple Watchで収集しているデータと一緒に、血圧の推移も一元管理できるようになります。ここでは代表的な血圧計を3つ紹介します。
Omron(オムロン)の血圧計

医療機器メーカーとして国内外で信頼されているオムロン。専用アプリ「OMRON connect」を通じて測定データをヘルスケアアプリに自動保存できます。精度が高いのはもちろん、日本での普及率が非常に高くサポート体制も安心。最近はスタイリッシュなデザインのモデルも登場しており、部屋に置いても違和感が少ない点も魅力です。
dretec(ドリテック)の血圧計

日本メーカーならではのシンプルさと扱いやすさが特徴。ワンボタン操作で簡単に測定できるため、初めて血圧管理を始める人にも向いています。サイズもコンパクトなので収納や持ち運びに便利。測定結果はアプリを通して「ヘルスケア」アプリに記録でき、毎日のデータをスムーズに蓄積できます。
CITIZEN(シチズン) の血圧計

時計ブランドとして有名なシチズンですが、医療機器としての血圧計も高い評価を得ています。特にCHUH904Cは上腕式ならではの安定した測定精度が強み。Bluetooth対応モデルのため、測定データをiPhoneに送信し、ヘルスケアアプリに反映できます。大型ディスプレイで結果が見やすく、家族で共有しながら使える点も魅力。信頼性と操作性を兼ね備えたモデルとして、毎日の習慣に取り入れやすい一台です。
まとめ|現時点の最適解は二段構え
現状ではApple Watch単体で血圧測定はできません。しかし外部の血圧計を組み合わせれば、すでに実用的な血圧管理が可能です。そして近い将来には「高血圧兆候の検知」機能が加わる可能性が高まっています。
つまり、現時点の最適解はこうです。「今すぐ血圧を測りたいなら外部血圧計+Apple Watch」「Apple Watchで血圧を測りたいなら新型モデルの最新情報をフォローする」。
自分のニーズに合わせて選んで、Apple Watchでの健康管理を効率よく最適化していきましょう。