iPad Air(M3)は、2025年3月に登場したときには最新モデルでした。ところが2026年3月に後継のM4モデルが出たことで、いまや一世代前。さらに2026年6月のApple値上げも重なり、「M3を今から買うのはどうなのか」という問いは、一年前とはまったく違う意味を持つようになりました。
この記事では、M3が置かれている現在の立ち位置を、後継のM4や値上げの状況まで含めて正直に整理します。買うならどこで買うのか、そもそも待つべきなのか。用途別に判断できるようまとめました。
iPad Air(M3)は今どんな立ち位置か
まず押さえておきたいのは、iPad Air(M3)はすでにApple公式のラインナップから外れているという事実です。2026年3月11日にM4を搭載した新型iPad Airが発売され、現行モデルの座はそちらへ移りました。
つまりM3を新品で買う正規ルートは、原則として終了しています。いま現実的に手に入る経路は、Apple認定整備済製品、家電量販店やECサイトに残る流通在庫、そして中古市場の3つです。
そのうえで筆者が言いたいのは、立ち位置が変わったからといってM3の価値が下がったわけではないということです。むしろ後述する価格状況を踏まえると、M3は「型落ちだからこそ狙える一台」に変わりました。順番に見ていきます。
M3とM4は何が違う?|比較表
まずは後継のM4と何が違うのかを整理しておきましょう。買い替えや選択を考えるうえで、ここがすべての起点になります。
| iPad Air(M3・2025) | iPad Air(M4・2026) | |
|---|---|---|
| 外観 | ![]() | ![]() |
| 発売日 | 2025年3月12日 | 2026年3月11日 |
| チップ | Apple M3(8コアCPU/9コアGPU) | Apple M4(8コアCPU/9コアGPU) |
| メモリ | 8GB | 12GB |
| メモリ帯域幅 | 記載準拠 | 120GB/s |
| 通信チップ | 従来構成 | Apple N1(Wi-Fi 7)+C1X(セルラー) |
| サイズ展開 | 11インチ/13インチ | 同じ |
| ストレージ | 128/256/512GB/1TB | 同じ |
| Apple Pencil | Apple Pencil Pro対応 | 同じ |
| Apple Intelligence | 対応 | 対応 |
| カラー | ブルー・パープル・スターライト・スペースグレイ | 同じ |
| 詳細 | Amazonで見る | Amazonで見る |
こうして並べると分かるのは、変わったのは主に中身だけということです。デザイン、ディスプレイ、サイズ展開、カメラ、バッテリーの公称値、対応アクセサリーは、M3からM4でほぼ据え置きになっています。カメラやバッテリー、ディスプレイといった主要スペックは、M2からM3、M3からM4と、ここ2年ほとんど動いていません。
チップ性能|M4はM3比で最大30%高速
最大の違いはチップです。AppleによればM4搭載のiPad AirはM3モデルと比べて最大30%高速化しています。数字だけ見ると大きな差に感じられますが、注意したいのはこれがピーク性能の話だという点です。
ブラウジングや動画視聴、資料作成といった日常的な用途では、M3とM4の体感差はほとんど出ません。差がはっきり表れるのは、動画編集やRAW現像、3Dアプリ、負荷の高いゲームなど、処理が重くなる場面に限られます。裏を返せば、そこまで負荷をかけない使い方であれば、M3で困る場面は考えにくいということです。
メモリと通信|地味だが着実な強化
M4で確実に前進したのがメモリと通信です。ユニファイドメモリは8GBから12GBへと50%増え、メモリ帯域幅も120GB/sに向上しました。Apple Intelligenceのようなデバイス内でのAI処理を多用するなら、この差はありがたく感じられる場面が出てくるでしょう。
通信面ではApple独自のN1チップとC1Xモデムが新たに載り、Wi-Fi 7に対応。セルラーモデルではモバイルデータ通信のパフォーマンスがM3比で最大50%向上し、消費電力は最大30%削減されています。特にセルラーモデルを外で酷使する人にとっては、無視できない改善です。
ただし率直に言えば、これらはいずれも「あれば嬉しい」レベルの強化であって、M3が急に不便になるような性質のものではありません。個人的には、Wi-Fi環境で使うことが中心なら、通信チップの世代差を気にする必要はほとんどないと思います。
いまの価格は?|値上げがすべてを変えた
ここがこの記事でいちばん伝えたい部分です。2026年6月25日、AppleはMacとiPadを中心に日本国内で大幅な値上げを実施しました。iPhoneやApple Watch、AirPodsは据え置きだった一方で、iPad Airは直撃を受けています。
値上げ幅はモデルによって差がありますが、iPad Air(11インチ)でおよそ20〜31%、金額にして31,000円〜45,000円もの上昇です。M4のiPad Airは発売当初こそ11インチ128GBが98,800円でしたが、この改定を経て価格帯が一段引き上がりました。背景にあるのは、生成AI向けデータセンターの拡大によるメモリ・ストレージ半導体の高騰と、円安の長期化です。Appleのティム・クックCEO自身も、部品コスト上昇を理由に値上げは避けられないと事前に示唆していました。
この状況が意味するのは、「新品のM4を定価で買う」という選択肢のコストが、一年前より明確に重くなったということです。そしてこの値上げは新品だけでなく整備済製品にも反映されているため、Apple全体の価格が底上げされました。
そのなかで相対的に光って見えるのが、M3の整備済製品や流通在庫です。
M3整備済製品の価格帯
Appleは2025年11月からiPad Air(M3)の認定整備済製品の販売を開始しました。整備済製品は専門業者が新品同様に検査・クリーニング・修理し、再販売しているため、品質によっては非常にコストパフォーマンスが高い選択肢です。販売開始時点での価格は、おおむね新品比で約15%安く設定されています。
具体的には、11インチのWi-Fi 128GBが83,800円から、13インチのWi-Fi 128GBが108,800円といった水準で登場しています。人気の構成はすぐに在庫が切れますが、定期的に補充されるため、こまめにチェックする価値はあります。
値上げ後のM4新品と、M3整備済を並べたとき、その価格差は一年前とは比べものにならないほど開いています。日常用途でM3とM4の体感差がほとんどないことを思えば、この差額をどう捉えるかが購入判断のポイントになります。
iPad Air(M3)を今買うのが向いている人
コストを抑えて質のいいiPadが欲しいなら|M3整備済
いちばん分かりやすいのがこのパターンです。M4の値上げによって新品の敷居が上がった今、整備済のM3は「性能十分・保証付き・価格が抑えめ」という三拍子がそろった選択肢になりました。
ブラウジング、動画、資料作成、ノート、軽めのイラストや写真編集といった一般的な用途であれば、M3で不足を感じる場面はほぼありません。Apple Pencil ProやMagic Keyboardへの対応もM4と共通なので、アクセサリーを含めた使い勝手も現行モデルとほぼ変わらないのが強みです。
2022年以前のiPad Airや無印iPadから乗り換えるなら|M3
M1以前のiPad Airや無印iPadから乗り換える人にとっては、M3でも十分すぎるほどの性能向上を体感できます。チップの世代がいくつも飛ぶため、動作の軽快さやApple Intelligence対応といった変化がはっきり分かるタイミングです。
このような場合、値上げ後のM4を選ぶ必要は薄いと個人的には思います。浮いた予算をApple Pencil ProやMagic Keyboard、ストレージの上位構成に回したほうが、満足度は高くなるはずです。
逆に、M3を選ばないほうがいい人
正直なところ、M3が最適解にならないケースもあります。
まず、すでにiPad Air(M2)やM3を使っている人です。一世代分の違いのために買い替えるメリットは、ほとんどありません。M2からM3、M3からM4への進化はいずれもチップ性能の底上げが中心で、日常使いで体感できる差は小さいためです。一モデル分の差で買い替えを検討する人は、そもそも多くないでしょう。
次に、重い処理を日常的にこなす人です。4K動画の編集、3D制作、負荷の高いゲームを長時間といった使い方なら、M4のチップ性能とメモリ増量、あるいはiPad Pro(M5)まで視野に入れたほうが後悔しにくいでしょう。
そして、通信性能を重視するセルラー派も、M4のN1/C1Xによる高速化と省電力の恩恵が大きいため、値上げを飲んででも新品M4を選ぶ価値があります。
よくある質問
iPad Air(M3)はもう新品では買えない?
Apple公式ストアのラインナップからは外れているため、新品の正規購入は原則終了しています。ただしApple認定整備済製品(ほぼ新品・1年保証付き)や、家電量販店・ECサイトに残る流通在庫、中古市場では入手可能です。整備済製品は在庫が流動的なので、欲しい構成があるうちに動くのが安心です。
M3とM4、体感でどれくらい違う?
日常的な用途ではほとんど違いを感じません。差が出るのは動画編集やRAW現像、3D、重いゲームなど負荷の高い場面に限られます。Appleの公称値でM4はM3比で最大30%高速ですが、これはピーク性能の話で、軽い作業では両者の差は体感しにくいと考えてよいでしょう。
値上げ後の今、M4新品とM3整備済のどちらがお得?
用途次第です。一般的な使い方が中心なら、価格差が大きく開いたM3整備済のコストパフォーマンスがかなり高くなっています。一方で重い処理や高速なセルラー通信を求めるなら、値上げを踏まえてもM4新品を選ぶ価値があります。
M2とM3ならどちらを選ぶべき?
基本スペックがほぼ共通で、アクセサリー対応も同じため、価格が安いほうを選んで問題ありません。整備済や流通在庫で条件のいいものを見つけたほうを選ぶ、という考え方で十分でしょう。
まとめ|値上げで型落ちM3の価値が上がった
- iPad Air(M3)はすでに後継M4に現行の座を譲り、公式ラインナップからは外れている
- M3とM4の違いは主にチップ・メモリ・通信で、日常用途での体感差は小さい
- 2026年6月の値上げでiPad Air(11インチ)は20〜31%上昇し、新品の敷居が上がった
- M3整備済は新品比で約15%安く登場しており、性能十分・保証付きで狙い目になっている
- 重い処理や高速セルラーを重視するなら、値上げを踏まえてもM4新品が向いている
一年前は「最新のM3か、値下がりしたM2か」という構図でした。しかし後継M4の登場と大幅な値上げを経て、いまの構図は「値上げされたM4新品か、コストパフォーマンスに優れるM3整備済か」に変わっています。
日常用途でM3とM4の差がほとんど出ないことを考えれば、多くの人にとってM3整備済は非常に理にかなった選択肢です。逆に、重い処理や通信性能を突き詰めたい人はM4を選ぶ。自分の使い方に照らして、必要な性能と価格のバランスがいいほうを選べば、後悔のない一台に出会えるはずです。
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